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講演1 繰り返して頭痛・腹痛を訴える子どもの診かた
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旭川医科大学小児科 沖 潤 一 |
| 最近訴えている子どもたちの症状は,私どもが厚生科学研究で行なった全国調査によると,小児科外来(3歳以上)では,だるい・疲れやすいが16.4%,頭痛10.7%,腹痛10.4%であり,保健室を訪れた児童生徒では,頭痛が17.2%,だるい・疲れやすい15.4%,腹痛10.6%の順でした。今回のフォーラムでは,多くの子どもたちが訴えている頭痛や腹痛について,どのような場合に腫瘍や慢性的な炎症性疾患を考えるのか,どのような場合に友人関係や家庭の問題といった心の健康問題を考えるのか述べます。 1. 腹痛 急性の腹痛を来たす疾患には,ウィルス性胃腸炎,急性虫垂炎(いわゆる盲腸),集団で発生した場合は,黄色ブドウ球菌,病原性大腸菌などによる食中毒などがあり,血便の有無,どのような食事を摂取したか,下痢や嘔吐,便秘の有無をチェックします。 繰り返して腹痛を訴える場合は,心の健康問題によるものや過敏性腸症候群といった機能的なものから,潰瘍性大腸炎やクローン病といった慢性の炎症,腹部腫瘍よるものなどがあります。代表的な症例を提示しながら,これらの鑑別点について述べる。 1) 機能的疾患による腹痛は腹部以外の症状も合わせて訴えている場合が多いのに対し,器質的な疾患の場合は腹痛症状に限られていることが多い。 2) 機能的疾患の腹痛は、学校のある日の朝方に強く,休日には消失していることが多い。器質的疾患の場合はこのような状況に左右されず、徐々に痛みの程度が進行します。 3) 吐き気や便秘・下痢は,機能的疾患・器質的疾患の両者にみられるが,実際に吐いたり,発熱がみられたりする場合は器質的な疾患の可能性が高い。 4) 機能的な疾患でも体重減少はみられるが,器質的な疾患の方が体重減少の程度が強い。 2.頭痛 頭痛を訴えている子どもの場合,まず発症および経過を検討し,急性の頭痛,慢性・反復性の頭痛,進行性か否かを明らかにします。発熱や嘔吐を伴った急性の頭痛や進行性で神経症状を伴った頭痛は,まず医療機関を受診すべきです。 神経学的な異常所見がない慢性・反復性頭痛の場合は,頭痛の性状や心因的な要素、家族歴を正確に聴取し,片頭痛,緊張型頭痛に分類していきます。 最近では,長時間ゲームに興じたあとに頭痛を訴える子もおり,生活習慣についても注意を払う必要が生じてきました。また,視力低下や,副鼻腔炎,歯科的な疾患も頭痛を来たすことがあるので、眼科、耳鼻科、歯科の先生にも相談することがあります。 |
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講演2 子どもの感染症と予防接種
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旭川医科大学小児科 室野 晃一 |
| 風邪を中心に感染症は子どもで最も多い病気であり感染症なしでは小児科を語れないほど重要である。感染症はウイルス、クラミジア、マイコプラズマ、細菌などの病原微生物が身体の中に入って(感染して)起こる病気である。その発症は病原微生物の病原因子とヒトの免疫とよばれる防御機構の力関係による。この免疫機構を利用して感染症を予防する最大の武器が予防接種である。 小児感染症の特徴 子どもの感染症の特徴は経過が非常に早く重症化しやすいことである。また逆に早期診断、早期適切な治療によりあっという間に回復する。感染症の主症状は発熱である。急いで病院へ連れて行かなくてはならない発熱は、生後3ヶ月未満の新生児・乳児が発熱したとき、ぐったりして元気がないとき、食欲がない・哺乳力が低下しているとき、眠りがちで意識がおかしいとき、けいれんをおこしたとき、頭痛・嘔吐を伴うとき、咳、喘鳴がひどくて息苦しそうなとき、関節・四肢を痛がるとき、高熱が3日以上続くときなどある。逆に言うと発熱があっても元気で食事・水分が十分とれているときは少し家で様子をみてよい。 インフルエンザと予防接種 インフルエンザは毎年冬になると流行する代表的なウイルス感染症である。また近年このインフルエンザによる高齢者の死亡増加、小児における致死的な脳炎・脳症など大きな問題となっている。 数年前から外来で20分程でインフルエンザAかBの判断までできる迅速診断キットが開発され有用となっている。さらにインフルエンザウイルスそのものに効く抗インフルエンザ薬であるザナミビル(リレンザ、吸入)とオセルタミビル(タミフル、内服)などが使用可能となっている。これらはA,B型双方に効果があり発症早期(48時間以内)の投与により有症期間を短縮する。またこれらの薬剤は予防にも有効である。 インフルエンザの発病予防、症状軽減にはワクチンが有効であり、毎年接種すべきである。 細菌性髄膜炎と細菌ワクチン 細菌性髄膜炎は最も重症な細菌感染症の一つで現在でも小児におけるその死亡率は3%、後遺症は20%に及ぶ。わが国におけるその原因菌は半数以上がインフルエンザ菌、4分の1が肺炎球菌である。またこれらの菌の耐性率の増加や早期発見・早期治療によっても救命できない患者さんが存在することなどから細菌性髄膜炎に対する予防医療が急務である。 欧米など諸外国では10数年前よりこのインフルエンザ菌に対するワクチンが開発、施行され、現在その罹患率は激減している。また最近ではもう一つの原因菌である肺炎球菌に対してのワクチンによりこの重症感染症もほとんどみられなくなっている。わが国でもこうしたワクチンの早期導入が望まれる。 |
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