旭川医科大学小児科子どもの発達診療センター
 
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5周年を迎えて
子どもの発達診療センター5周年を迎えて

子どもの発達診療センターは2007年6月の発足から5年が経ちました。この間、たくさんの方々が受診されています。発達障害の症状で困っているお子さんが多いこと、自分たちが果たすべき役割について改めて考えています。

ここでは、この5年間の子どもの発達診療センターの診療実績に関してご報告いたします。

<のべ受診者数>

子どもの発達診療センター開設からの5年間でのべ受診数は、17,668名でした。このうち、男児が11,072名と男児が女児の約2倍の人数でした。当センターの発足前からの患者さんもたくさんいらっしゃいますが、センターとしての発足後の初診は534名でした。年間110名前後の患者さんが初診されています。対応する医師の数が少ないために初診は3-6ヶ月待ちとなっており、大変ご迷惑をおかけしています。今後、医師の確保が可能であれば、ニーズにお答えできるように努力して参りたいと考えています。

<地域性>

子どもの発達診療センターを受診される患者さんのうち、この5年間に初診された患者さんで、住所のわかっている方に関しては図のようになっていました。道央・道東・道北の広い地域から受診されています。旭川市以外のそれぞれの地域には、基幹病院に発達相談をする外来がありますが、いずれの地域の発達外来も飽和状態で、緊急性の高い問題を抱えたお子さんが、当センターへ受診されていました。
患者分布図

<疾患別の特性>

受診後に確定した診断名の上位をお示しします。

自閉症スペクトラム発達障害(ASD)は、自閉症・広汎性発達障害・アスペルガー症候群の方々を含む疾患概念です。一般的な有病率では1-2%といわれており、ADHD(注意欠陥多動性障害)の有病率3-7%を下回りますが、家庭や集団生活の場面ではASDの特性を抱えたお子さん本人と養育する大人の困り感が強いことがわかります。また、少なくとも40%前後の方は知的障害を伴わない高機能のASDでした。ADHDの方と同様に“普通”に見られやすいために、親の躾(しつけ)の失敗・お子さんのやる気のなさや性格の悪さと勘違いされて、生活上の困り感を抱えていることが多いようです。いずれの場合にも、診断がつくことで、正しい理解に基づいた効果的な介入法を知り、環境調整や必要な際の薬物療法などを適切に実施することで、お子さんと大人の困り感が解消されていきます。また、受診は早い方が予後が良いケースが多いようですので、問題がこじれる前の早期の受診をお勧めします。

不登校、不安障害、緘黙(かんもく)症および心身症は、高率に背景に発達障害を抱えている事が多く、どちらかというと発達障害に適切に対応できなかったための二次的問題であることが多く認められていました。この点からも、発達障害の中核的な症状に対し、早期に気づいて適切に対応することが重要であるということがいえます。
疾患別グラフ

<多様なニーズにお答えするために>

子どもの発達診療センターでは、医師の診療以外に臨床心理士・心理士による対応もしています。心理発達検査はもちろんですが、個別的なカウンセリングや、集団カウンセリングとして社会性を育てる事を目的としたソーシャルスキルトレーニングも行っています。これらのカウンセリングの5年間ののべ受診数は、3532名でした。また、お子さんの側だけへの介入ではなく、正しい知識に基づいて大人の側が適切な関わりをもつことで、子どもの問題行動や大人の子育てストレスの軽減を目的とした、ペアレントトレーニングを設立3年目から実施しており、のべ224名に対応しています。

発達障害を抱えた子どもたちは、家庭以外に集団生活を送ります。ともすれば平日は親よりも長い時間、保育士さんや学校の先生と関わることになります。そこで、子どもの発達診療センターでは保護者の方に了解をいただいた上で、医師または臨床心理士が、保育士や教師との直接面談によって、お子さんに関する正しい情報をお伝えし、効率的な指導方法などに関して話し合いをしています。年間40-50名の先生とお会いしており、何らかの都合で直接お会いできない場合にはお手紙を書いて情報を共有しています。お手紙は年間350通程度作成しています。

<社会活動・学会活動など>

子どもの発達診療センターでは、診療以外に広く社会に発達障害に関する情報発信を行うことも実践しています。医学・心理学の学会における学会活動はもとより、一般社会に向けての講演活動なども積極的に行ってきました。 5年間で、論文等は8編発表しています。また、学会・研究会での発表は筆頭のみで22演題、シンポジウムでの発表は4演題、学会・研究会での講演は15回、親の会や学校など一般に向けての講演活動は50回実施しています。 今後も、日々の診療から得た知見を高め、積極的に活動していきたいと考えています。