タイトル厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「Menkes 病・occipital horn 症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発に関する研究」平成23-24年度 総合研究報告書

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厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「Menkes 病・occipital horn 症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発に関する研究」平成23-24年度 総合研究報告書

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厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「Menkes 病・occipital horn 症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発に関する研究」平成23-24年度 総合研究報告書

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厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「Menkes 病・occipital horn 症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発に関する研究」平成23-24年度 総合研究報告書

II.遺伝形式・遺伝子異常1993年に本症の責任遺伝子が同定された9-11)。ATP7Aは染色体上ではXq13.3に存在し、本症はX染色体劣性遺伝形式を示す。遺伝子変異はsplice site mutationあるいはmissensemutationが主で、そのためATP7Aに残存活性がある。ATP7A database: www.LOVD.nl/ATP7Aでは今までに報告されていた16人のOHS患者での遺伝子変異が記載されている12-22)。そのうち、splice site mutationは7例、missensemutationは7例、プロモーター領域deletionは1例、翻訳領域変異は1例であった。III.発症頻度我が国での発症頻度に関しては、平成22年度の厚生労働省難治性疾患克服事業で本症患者の実態調査を行った。一次調査は、小児神経専門医、公立病院および大学病院、重症心身障害児施設、帝京大学に相談のあった主治医(合計3,161)に過去10年間での経験症例を調査した。回収率は54.8%であった。2次調査で、7例のMenkes病患者が登録された。この間の全国の男児出生数より換算して約68万男児出生に1人であった23)。それ以前に帝京大学に問い合わせのあった患者を含めた9例のうち、6例は散発例で(うち1例は染色体異常で47,XXY、1986年生まれ)、3例は同じ家系で3世代に亘って、発症した例であった。全員男性であった13, 24-28)。海外では、同一家系の症例も含めて、1994年から2013年現在、31例の報告があり、うち1例は女性であった13-17,29-39)。1994年までの海外報告例は、18例である1-4,40-42)。したがって、日本人患者を含めて、1975年以降、世界中で計58症例の報告がある。IV.症状発症年齢は1~10歳と幅が広い。筋力低下、皮膚の過進展(図6)、関節の過進展など結合織異常が主である。顔貌はMyopathyに特徴的な顔貌で、歩行は一般に可能であるが、筋力低下によるゆっくりした歩行、ふらつきなどの歩行障害がみられる。筋力低下による側弯症、前弯症が認められる患者が多い(図7)。関節の変形も特徴的で、おそらく筋力低下、関節の過伸展などによるものと思われる(図8)。けいれんを合併する症例が稀にみられるが、精神運動発達は正常か軽度遅延している程度である。繰り返す尿路感染、下痢を合併する患者も多く、鼠径ヘルニアを合併することもある。症状の出現、程度は患者により、かなり異なる。おそらくATP7A蛋白の残存活性の程度によるためと考えられる43)。65