タイトル厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「Menkes 病・occipital horn 症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発に関する研究」平成23-24年度 総合研究報告書

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厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「Menkes 病・occipital horn 症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発に関する研究」平成23-24年度 総合研究報告書

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厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「Menkes 病・occipital horn 症候群の実態調査、早期診断基準確立、治療法開発に関する研究」平成23-24年度 総合研究報告書

VII.治療現在、有効な治療法は確立されていない。1990年、Tanaka44)らはメンケス病モデルマウスであるmacular mouseに対して塩化銅とともに油性キレート剤であるDEDTC(Diethyl)を投与したところ、脳内銅濃度が上昇したことを報告した。現在抗酒癖薬として使用されるジスルフィラム(ノックビン)は、DEDTCの二量体であり体内でDEDTCに分解されることから、DEDTCと同様の効果45)を示すことが期待され、動物実験では脳内銅濃度の上昇や、銅酵素活性の増加が示されている46)。本症はMenkes病の軽症型であること、ATP7A活性が低下しゴルジ体への銅の輸送が障害され分泌銅酵素であるリシルオキシダーゼ活性が低下していることより、ジスルフィラムが効果的であると考えられる。本症患者1例でヒスチジン銅皮下注射とジスルフィラム経口投与の併用療法が試みられているが、明らかな効果は見られていない47)。VIII.予後長期に亘って観察したデータがない8)。いままでに報告した男性症例の報告時の年齢は18ヶ月-39歳で、1人女性症例の報告時年齢は50歳であった30)。補足近年、診療のガイドラインを作成するにあたって、そのエビデンスレベルと推奨クレード分類などを検討し“エビデンスに基づく診療ガイドライン”を作成する必要性が言われている。エビデンスレベルや推奨グレードの判定方法として、Minds(Medical InformationNetwork Distribution Service)、Oxford Centre for Evidenceなどが多くの方法が発表されている。本診療指針を作成するにあたって、個々の論文のエビデンスレベルは提示せず、冒頭に提示した指針に対してエビデンスレベルと推奨グレードをAmerican Associationfor the Study of Liver Diseases (AASLD)が発表している判定法48)(表1)に準拠じて決定した。今回提示した指針は本疾患に対しての初めての診療指針であり、今後、より充実したものに改正されることと思われる。69