7. 風邪と抗生物質(6才5か月)

かかりつけのお医者さんはうちの子に合う抗生物質を出してくれません。
抗生物質を出してくれないときもあるんです。

― うちの子は抗生物質Aを飲むと熱が引くのに、先生は今回は飲まなくてよいでしょうといったり、抗生物質Bでよいでしょうといったり。私は抗生物質Aのほうが強くてよく効く薬と思っていますし、事実、うちの子はこれでないと効かないんです。
先生●このふたつの抗生物質は強い、弱いに差があるのではなく、系統が違うだけ。それぞれに効きやすい菌はありますが、抗生物質は基本的にはウイルスで起こる風邪には効かないのですよ。
― でも、抗生物質で熱は下がるのではないですか。うちの子は下がりますが。
先生●たまたまウイルス以外のバイ菌がいて、それで薬が効いて治ったということもあるかもしれませんが、抗生物質で熱が下がるということは原則としてありません。そもそも風邪を治す薬はないのですから。
― え? 風邪の薬がない?
先生●そうです。風邪のウイルスを直接やっつける薬はありません。
― となると風邪で病院にかかっても仕方がないということになりませんか。
先生●風邪の薬の場合は対症療法といって、鼻水が出るときは鼻水の薬、咳が出るときは咳という具合に症状を抑える薬を出して患者さんが少しでも楽になるようにすると同時に、肺炎や中耳炎を起こしていないかもチェックしますので、病院に行ってもむだということはないと思いますよ。
― そうなると抗生物質は何のために出るのですか。
先生●ウイルスによる風邪のあと二次的に細菌感染を起こして経過が長引くことがあるので、それをこわがって抗生物質を出すことが多いのですね。しかし、風邪には抗生物質は出さないという医師もたくさんいます。いままで安易に抗生物質が出されすぎたために抗生物質が効かない細菌が出てしまい、その治療がいま問題になってもいるからです。
― 私はどうしても心配で、今回は抗生物質はいらないといわれたときは前にもらって残っている抗生物質を使うようにしているのですが。
先生●できれば先生の指示に従ってください。米国では必要のない抗生物質を飲まないよう、患者さん向けのキャンペーンも行なわれています。勝手な判断で安易に抗生物質を使わないようにしてほしいですね。