成長曲線自動作成プログラム
 お子さんが元気なら、背が低くても、そのうち伸びるだろう、思春期になったら伸びるだろうと期待しているご両親が多いです。けれども、思春期が過ぎると身長の伸びは止まります。思春期に期待したほど身長が伸びないで、慌てて来院する方が非常に多いです。もし、成長ホルモン分泌不全や甲状腺機能低下があった場合、身長が止まりかけてから治療を始めても手遅れです。「もう少し早く来院してくれていたら、身長の改善が見られたのにー」と残念に思う患者さんが非常に多いです。特に成長ホルモン分泌不全症やターナー症候群などは、背が低いこと以外、殆ど症状がなく、健康なお子さんと変わりないので、受診、治療が手遅れになりがちです。
 低身長が気になる子供さんは出来るだけ早く診察を受けましょう。その上で、異常がなければ、安心して様子をみればよいですし、もし、成長ホルモン分泌不全や甲状腺機能低下症があれば、治療は早いほうが効果が大きいです。

■低身長初診時の検査・費用は?
 低身長の程度にもよりますが、検査した方がよいと判断した場合は、血液検査、尿検査、手のレントゲン検査をします。血液では貧血の有無、栄養状態、甲状腺ホルモン、成長ホルモンなどを調べます。女子の場合は染色体検査も必要なことが多いです。手のレントゲンで骨の発育を評価します。これらの初診時の検査の費用は健康保険の家族の3割負担で約7,000円(紹介状持参の初診料込み)です。染色体検査をすると、それに7,500円加算されます。ただし、地域によっては、6歳まで無料のところが多いです。その場合は、初診料のみで、詳しい検査が出来ます。

■成長ホルモン分泌不全疑いの場合
 成長ホルモン分泌不全症は、背が低いこと以外、殆どなにも症状がありません。初診時の検査で、成長ホルモン分泌不全が疑われた場合、診断には詳しい検査が必要です。しかし、その場合も原則として外来で検査を行い、入院の必要はありません。成長ホルモン分泌不全の診断には、2つ以上の負荷試験で成長ホルモンの分泌が悪いことを証明する必要があります。負荷試験とは、すでに確立された検査法で、成長ホルモン分泌を促す飲み薬や注射を投与して、血液中の成長ホルモン値を調べる検査です。1回の検査で午前中かかりますが、午後からは普通の生活が出来ます。負荷試験で成長ホルモンの分泌が悪いと、成長ホルモン分泌不全症と診断します。

■ターナー症候群
 X染色体の異常で、発症率は女子2,500人に1人で、けっして希な病気ではありません。中学校位までは、低身長以外、あまり気になる症状がない方が多いです。中学になっても性の発達が見られない方が多いですが、ほぼ正常に二次性徴が発来するターナー症候群の女子もいます。難聴、繰り返す中耳炎、側わん症、心奇形、腎奇形などを合併することもあります。初診時の血液検査で診断がつきます。成長ホルモン治療で身長は改善します。二次性徴も女性ホルモンで治療可能です。低身長の女子は早めに検査を受けることをお奨めします。

■プラダーウィリー症候群
 低身長、軽い精神発達の遅れ、肥満、性腺機能不全、筋力低下を特徴とする病気です。発症頻度は1−2万人に1人と、それほど希な病気ではありません。男子でも女子でも罹ります。男子の場合は停留睾丸やペニスが小さいので、そのことで受診し、診断されることもあります。女子の場合は、外性器はほぼ正常で診断の手がかりにはなりません。血液検査で診断することが出来ます。成長ホルモン治療で、低身長の改善、筋力低下などが改善します。同時に肥満に対する食事療法や運動が大切です。精神発達の遅れに対しても、その子その子に応じた対策が必要でしょう。低身長と肥満を持つお子さんは検査をお奨めします。